7月27日にYahoo! JapanとGoogleの提携が発表されましたね。これだけ大きなニュースですし、少し思うところを書いてみたいと思います。

今回の件については、簡単にいうと検索サービスにおいて、Yahoo!Japanが、Googleのウェブ、画像、動画、モバイルの4つの領域における検索技術(と検索広告)を採用するというものです。中身はGoogleで、それにYahoo!がインターフェースなどは従来通り管理し、独自の調整を加えつつユーザに提供するというかたちになります。その結果、Googleが日本の検索市場を事実上独占することになるということですね。Bingになるのかな、と思っていただけに、とても驚きました。

提携に関して詳しくは、海外SEO情報ブログの鈴木氏が、「日Yahoo!が米Googleと提携 ? これだけ押さえておけばいい重要ポイントまとめ」の中で両社の公式発表と関連資料へのリンクをリスト化されています。そちらに目を通されると良いでしょう。

鈴木氏も同記事の中で書かれていますが、Yahoo!の検索に関しては様ざまな問題が生じていたことは事実で、このニュースを知って、喜んだ人も多いようです。実際、一昨日はTwitterを見ていてもお祭り騒ぎといってもいいほどのスピードでツイートがタイムラインを流れていく様を見ることができました。

このYahooの問題とされていたことについては、渡辺氏のまとめが非常に分かりやすいと思います。「ヤフーとグーグルが提携、アルゴリズム検索技術にGoogleを採用」の中の「検索マーケティングへの影響は?」という項目で、Yahoo!の不具合として「全般的にブラックハットな最適化手法に脆弱な検索アルゴリズム技術」や「 明らかに検索システム側の不具合によると思われる、突然のインデックスからの消滅など、インデックスにかかわる問題(e.g. トップページが突然消滅する)」など7項目を挙げられています。これらに悩まされた方も多いと思いますし、今後これらの問題に煩わされることがなくなるというのは確かに嬉しいことだといえるでしょう。

気になるのは、多くの方が指摘されている通り、Yahoo!による「独自の調整」とされる部分ですね。現在でも、米Yahoo!のアップデートだけでなく日本独自アップデートが加わることによって、同じYahoo!でも日米で異なる結果になってしまっていましたし、検索エンジンがGoogleに代わった後、この独自調整がどの分野でどの程度の規模や間隔で行われるかによって、Googleそのものの検索結果と特定のSERPsなどで大きな違いが出る可能性も否定できません。

また便利だった「link:」や[site:」などの検索コマンドがどうなるかといった点でもとても興味があります。

とはいえ、作業レベルで考えるならば、個人的にGoogle対策が基本となることで、非常にシンプルになりますし、そういう点では助かると言っていいのでしょう。理論的に、かつ地道にサイト構築に取り組むことが、SEOにおいて結果に結び付く可能性が高くなったということは、やはり歓迎していいのではないかと思います。

しかしながら、今回のYahoo!とGoogleの提携は、ただ喜んでばかりもいられないだろうとは考えています。

ひとつには単純に「上位」に表示されるサイトの数が減る(場合によっては半分になる可能性がある)という事実です。この点から考えると、リンク獲得競争などがむしろ激化する可能性があります。私自身は上位表示をあまり気にしないようにしていますし、どちらかというとロングテールを重視したいと考えていますが、ビッグワードで上位表示をSEOそのものと考えている業者もまだ少なくないでしょうし、クライアントがそう考えている可能性はさらに高いのが現状ではないかと思います。上位表示競争の激化が、YahooとGoogleが併存している今と比べて、SEOに関わる人びとにとって良い結果に結び付くといった保証もないのではないかと思います。

またGoogleが―Yahoo!に比べて随分マシかも知れませんが―必ずしも適切な結果を出すとは限りません。Googleによって意図せず大規模なインデックス削除を受けてしまったサイトもあり、その場合の代替として日本において、他の検索エンジン―Bingやネイバー、バイドゥなど―では規模が小さすぎると思います。こういう場合でのリスク分散がしにくくなるということですね。

さらにGoogleのアルゴリズムの変化の量やスピード等が、サイト運営に与える影響も考慮すべきでしょう。その場合、SEOを意識すればするほど、逆にGoogleに振り回される結果になるでしょう。GoogleはYSTほど手を焼く相手ではないかもしれませんが、必ずしも物わかりがいい相手ではないということは頭に入れておく必要があるように思います。

上手くまとめられないまま、だらだらと書いてしまいましたが、個人的には色々と気になるところもありつつ、まだ移行のタイミングも分かりませんし、とりあえずは今後の両社の動きをじっくりと観察していきたいと思います。これでまやってきたことが特に大きく変わるわけでもないと考えていますし。

最後に今回の件について、多くの記事が投稿されています。そのうちの一部になりますが、以下に一覧にしておきますので、良かったら参考にしていただければと思います。