GoogleのSERPsに表示されるパンくずリスト

Googleの『The Official Google Blog』の記事「New site hierarchies display in search results」で、GoogleのSERPs(検索結果)でこれまでのURLの代わりに「パンくずリスト(Breadcrumb / Crumblist)」が表示されるようになったことが報じられました。このことは、既にニュース等でご存知の方も多いかと思います。

ご存じない方にも簡単に説明すると、これまでSERPsではそれぞれのページの一番下に以下のような表示がありました。

www.seomode.jp/seo/2009/11/07/349/

その表示が、今後、次のように置き換えられるということです。

www.seomode.jp > seo > 2009

冒頭の画像でもお分かりかと思いますが、実際に、日本語サイトでもそれらが既に表示され始めています。ただ、常に確認できるとは限らないようで、同じキーワードで検索しても表示されるケースと表示されないケースがありました。

GoogleのSERPsにおけるこのパンくずリストの出現は、それぞれの階層をクリックすることで、ダイレクトにSERPs上で表示されているページと関連する階層(上層)のページへアクセスすることができます。

これは、それ自体とても便利なものだといえますし、一方でページ単位のタイトルやスニペットにキーワードが含まれないケースでも、SEREPsにキーワードを表示できることもあり、今後、クリック率に大きな影響を及ぼす可能性があります。

このことから、「SERPs上のパンくずリストといっても、サイト内にパンくずリストがないサイトはどうなるんだろう」とか、「複数の経路が示されているサイトはどうなるんだろう」ということが気になり始め、実際にGoogleが本当にパンくずリストを利用しているのか調べてみることにしました。結果として、私個人としては結構面白いことが分かったので、以下でご紹介します。

パンくずリストをそのまま利用してる場合

まずは、Googleの公式ブログで紹介されていた、「Spidersapien – ProductWiki unbiased product reviews」、スパイダーマンロボット(?)を紹介するページです。Googleが提示している検索結果は次のものになります。

spidersapien reviews

私がこちらを調べた際には、SERPsにパンくずリストが表示されることはありませんでした。ただ、Googleがわざわざ画面を作成したとも思えなかったので、表示されている画像を元に実際のSERPと、その対象ページにアクセスしてみました。Googleで紹介されていたSERPで表示されるパンくずリストは以下のようなものです。

www.productwiki.com > Toys & Games > Robots

アクセスしてみると、ヘッダーの直下に確かにパンくずリストが設置されており、GoogleのSERPはそれを素直に表示しているようです。ちなみに、「Spidersapien – ProductWiki unbiased product reviews」でのパンくずのマークアップは次のようになっていました。

<div id="product-path">
	<ul>
		<li>
			<a href="/">Home</a>
		</li>
		<li>
			» <a href="/toys-games/">Toys & Games</a>
		</li>
		<li>
			» <a href="/robots/"><strong>Robots</strong></a>
		</li>
	</ul>
</div>

設置されているid名の「product-path」は「製品関連の経路」みたいな意味だと思いますので、パンくずの代わりをしていることはクローラーにも予想が付く気がします。マークアップもスタンダードですし、ここは素直に、パンくずリストの存在を理解し、それに沿って表示しているように思います。

アルゴリズムから作成されている場合

次は、Googleの公式ブログで表示されている、「How to Make Granola : Don’t spend a fortune on toasted oats – CHOW」、グラノーラの作り方を紹介しているレシピページです。Googleが提示している検索結果は次のものになります。

how to make granola

こちらも、私が検索した時は、パンくずリストが表示されませんでした。とはいえ、GoogleのSERPでは次のように表示されているのはGoogle公式ブログの画像から分かります。

http://www.chow.com/ > … > Healthy Recipes > Other Healthy Recipes

問題は実際にこの通りのパンくずリストがサイト内にあるのか、ということですが、私が調べた限りでは、上のパンくずを関連付けるような箇所を見つけることはできませんでした。

では、トップページからリンクで繋がっていき、SERPのパンくずリストに該当するページへ至る経路があるのかと考え、探してみました。

しかし、調べた限りでは、トップページから、「Other Healthy Recipes」へ繋がるリンクを見つけることはできませんでした(もちろん"…"がはさまれているくらいですし、頑張って辿ればいつか行き着くのかも知れません)。

サイトマップも調べてみましたが、こちらも全く異なる階層表示になっていました。そもそも、この「How to Make Granola」のページは、URLから見ても「stories」の中に位置づけられています。サイトマップやパンくずリストを素直に表示するならば、おそらく、SERPsのパンくずリストの最後の部分には「stories」が入るはずです。

ただし、ページの内容自体は、SERPsのパンくずリストが示すように、レシピであり、GoogleのSERPsが間違っているというわけではありません。むしろ「how to make granola(グラノーラの作り方)」と検索するユーザーに対し、「Healthy Recipes(ヘルシー・レシピ)」と表示することは逆に良いことのようにも思えます。

以上のことから、このサイトに関して言うならば、Googleはパンくずリストがないことから、パンくずリストの代わりに、アルゴリズムからSERPsのパンくずリストを生成しているように思えます。

サイト内のリンクとアルゴリズムの両方から作成されている場合

最後に、一番確認しやすいサイトとして、藤井氏「SEO対策の薬箱」の記事「Twitterでマーケティングを始める8つのポイント」と高橋氏「かちびと.net」の記事「とりあえずBingのSEOの為にガイドラインを見てみた」です。こちらに関しては、私が実際に検索して、表示を確認できました。

まず、「SEO対策の薬箱」の記事です。


GoogleのSERPsに表示されるパンくずリスト

確認してみると、「SEO対策の薬箱」ではパンくずリストは設置されていないようでした。

代わりにサイトマップを設置されていますが、該当する「Twitterでマーケティングを始める8つのポイント」は、GoogleのSERPに表示されている「Movable Type」のカテゴリではなく「バイラるマーケティング」のところに設置されています。

つまり、これはGoogleが、サイト内のサイトマップを参照していないことを意味しているように思います。それどころか、このSERPは、Twitterの記事を、Movable Typeの項目で表示していることからも分かるように、明らかに間違っていますよね。サイドバーに表示されている「Movable Type (9)」をクリックしても、もちろんTwitterの記事は出てきません。

このことから分かるのは、Googleは少なくともパンくずリストがない場合、リンクを辿ってSERPsのパンくずリストを生成するわけではなく、アルゴリズムに頼っているのだろうということです。

次に「かちびと.net」です。


SERPsのパンくずリスト

こちらもパンくずリストらしきものはありません。ただ、ある意味でパンくずリストとして理解されそうなのは、検索した際の記事一覧に表示される、各記事のフッター部分にある、タグとコメントの部分です。

GoogleのSERPで表示されていたのは、「kachibito.net > SEO > ニュース」ですから、まず、単純な階層構造としてはGoogleの表示は間違っているように思います。ただ、上で挙げた「タグとコメントの部分」には、「シロ » SEO, ニュース, 検索エンジン」という箇所があります。Googleはこの辺りから、情報を得ているか、あるいは、タグクラウドから、この結果を導き出しているように思います。

予めパンくずリストを設置しておく

以上のことから考えますと、もちろん、サンプル数も少なく、あくまで推測ということにはなりますが、Googleはパンくずリストと明らかに分かるものに関しては、それに従い、そうでないものに関しては独自のアルゴリズムを利用して、自動的にパンくずリストを生成しているようです。「SEO対策の薬箱」の事例から考えても、明らかに間違った構造を提示している場合もあることからも分かります。

もし、Googleの新しいSERPパンくずリストをある程度コントロールしたいならば、やはり予めそれと分かる「パンくずリスト」を提示しておいた方が良さそうです。またそうでない場合も、ページに関連するとわかる箇所に関連タグを記載しておくと、それを補完してくれる可能性がありそうです。

これから数日の内に実装されるというパンくずリストですが、うまくコントロールし、SEOやユーザービリティを補完する要素にしたいものですよね。もちろん、今後アルゴリズムのクオリティも上がり、より正確なパンくずリストが表示されるようになるとは思いますけれど、ここぞというときのためににある程度コントロールできるようにしたいなぁ、とは思います。

私の場合、このサイトではやっていませんが、パンくずリストを設置する場合、たいてい以下のようにマークアップすることにしています。

	<ol class="breadcrumb">
		<li>サイト名</li>
		<li>カテゴリ名</li>
		<li>ページ名</li>
	</ol>

<ul>は、リストの順番に必ずしも意味はありませんから、<ol>を使い、トップから順に階層的になっていることを示そうとしているわけです。クローラーがそこまで読み取ってくれているのかは実のところ、定かではないのですが、特に手間のかかることでもありませんから、こうする癖をつけています。良かったら、参考にしてください。

ちなみに、上で一度も登場しなかったことからもお分かりのように、このSEOモードが表示される検索結果にパンくずは一度も現れてはくれませんでした。ちょっと残念なんですが、今後の出現を楽しみに待ちたいと思います。そもそもパンくずがないので、どんな結果になるかとても楽しみなんですよね。